A. キリストの贖いについて【ウ】

ウ. 過越の小羊としてのキリスト

 

 この贖いのみわざの最上の絵は、キリストが神の過越の小羊となられたことに見られます。旧約において、イスラエルの子供たちは、束縛と奴隷の地であるエジプトにいました(出1:8-14)。エジプトの王にイスラエルの民を解放させるために、神は地を行き巡って、すべての家庭のういご(長子)を殺そうとされました。家族の長子である限り、死ぬことが運命づけられたのです。……

 

 そのような環境の下で、神はイスラエルの民が神の裁きから救われる方法を備えられました。神はイスラエルの民に小羊を殺し、血を家の門柱に塗るよっ命じられました。その夜、神の使いはその地を巡って、その地に裁きを行ないました。門柱に血が塗られていない家庭はみな、長子が殺されました。しかし血の覆いの下にある人たちは救われ解放されました。このことは、過越の祭りとしてユダヤ人の間で、ずっと記念されているのです。 

 

 過越は予表です。それは、イエスキリストにおいて新約で達成された神の贖いのわざを見せる絵であるのです。キリストは真の神の小羊です。彼は単なる偉大な教師、偉大な宗教的指導者ではありません。彼は人類の贖い主です。聖書は、彼が「世の罪を取り除く神の小羊」である、と言っています(ヨハネ1:29)。地上での三十三年半の生活の後、イエスキリストは十字架で死なれました。彼の死は普通の死ではありませんでした。この世の多くの偉大な指導者たちは自分のために死にました。多くの国家的英雄たちも自分の国のために血を流しました。しかしイエスは、すべての人類の罪のために死なれたのです(Ⅱコリント5:14)。彼は唯一の贖い主として死なれたのです。

 

 

キリストの贖いと救い:アウトライン

(JGW日本福音書房 ロシアでの福音メッセージによる小冊子(5)キリストの贖いと救いより抜粋)